根管治療後の経過観察 |日野どうぶつ病院|1

blog

根管治療後の経過観察

根管治療後の経過観察 |

皆さん、こんにちは〜

今回お知らせするのは、根管治療後の経過観察です。とある獣医さんから、根管治療後の経過観察について質問をされました。

根管治療というのは、何らかの理由で失活(死んだ)した歯を保存するための治療法です。
人では主に、重い虫歯が歯髄(神経)まで到達した時に行われます。犬や猫では、大きく歯が折れると歯髄まで見えることがあり、口腔内の菌が侵入して感染を起こします。
感染は歯髄だけにとどまらず象牙質まで到達します。
感染を起こした歯髄と象牙質をできるだけ取り除き、空いたスペースにお薬(現在はバイオセラミック)とガッタパーチャを入れて閉じ、歯冠修復をするというのが一般的な流れです。

動物は痛みを我慢することが多く、症状を認めないからと、放置しても良いぐらいに言われる獣医さんもいますがそれは大きな間違いです。
わからないだけで、動物は激痛を感じていますから、ぜひしっかりと根管治療ができる動物病院にご相談ください。通院できる範囲になければ、もう一つの選択肢である抜歯ができる動物病院に相談しましょう。

写真は半年ほど前に根管治療をした時のレントゲンと、1回目の経過観察のレントゲンです。根尖周囲のコツ透過像がないかを確認します。
少なくとも2方向から取り、反対側の歯とも比較検討します。208は、3本の根っこがありますので、全てチェックします。根尖周囲に異常はなかったので、更なる治療は不要と判断しました。

抜歯であれば1度で治療は終わりですが、根管治療の場合は半年ごとに2年後まで、麻酔下での歯科レントゲン検査で経過観察を行います。
なぜ経過観察を行うかというと、抜歯は完全に除去できるのですが、根管治療は可及的に汚染したものを取り除くことしかできないからです。
これは人でも動物でも同じことですが、もし、経過が思わしくない歯根については、逆根管治療(歯根端切除、外科的根管治療ともいう)や、部分的に歯根を切除するヘミセクションの実施により、歯を残すことも可能です。
この場合、どの歯を抜くのか、歯冠のどの部分を除去することになるのか、意義がある治療かどうかを入念に検討し実施します。

この写真は、当院が使用している犬用歯科カルテです。当院では歯科検査と処置を行った飼い主さんには、この記録のコピーをお渡ししています。どのような検査と治療を行ったかがこのカルテでわかるようになっています。

TOP