Case #062: 胆のう切除を行なった12歳、メスのパグ |日野どうぶつ病院|1

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Case #062: 胆のう切除を行なった12歳、メスのパグ

 

去る5月、胆のうに穿孔を起こし、それが比較的軽度だったことで短期間のうちに回復した。その後徐々に胆のう内に胆泥が溜まり続けたようで、総胆管の通過不全を起こしてしまったパグの手術を10/20(日)に行なった。

10/19(土) 嘔吐を主訴に来院した。ALP, ALTは当院の検査機械の測定限界をほぼ超えていたがBilは1.2だった。動きは悪くなく、超音波検査では典型的な胆のう粘液嚢腫の様相ではなかったので、内科療法を行いつつ、オペが詰まっているので2日後の夜に、胆のう切除を行うこととした。手術のことを話し合っていたのだが、私からも積極的に提案をしなかった責任を感じる。

10/20(日) 嘔吐はないものの、前日より動きは悪く、Bilは4.0となっていた。家族の方も手術を希望されたこともあり、午前の予約診療を終え、午後急遽手術をすることとした。

手術開始時の様子 

 胆のうは、腹膜、大網とそれぞれ癒着していた。

 鎌状間膜切除後、右上腹部腹膜に胆のうの癒着を認めた。腹膜を切除し、PDSにて腹膜を縫合。

 肝臓に取り囲まれた赤い部分が腹壁と癒着していた部分。大網を引っ張って、出来るだけ手前に胆のうを寄せつつ、胆のう剥離を進める。

 綿棒を使ったり、ガーゼを巻いたモスキートと使ったり、あの手この手で進むが亀の歩み。

 肝臓からは半分ほど剥離し、大網も剥離できた。胆のうの張りや固さは伝わるだろうか。

 大網に縫合糸を結わえ、牽引し、深部に向かってさらに剥離を続ける。

 途中静脈からの出血と思われる、ある程度の失血があったが、ガーゼの圧迫により止血ができ幸運だった。胆のうを切除し、もう1本Vicrylをいつでも結紮できる状態にしつつ、総胆管の開通試験を実施。

 断端を消毒し、完了。腹腔内を念入りに洗浄し、閉腹し終了した。

(人手が十分ではないので、途中の写真が十分でないのはご容赦ください。)

10/21(月) 早朝、消化器サポート缶を少量与えたところ、よく食べてくれた。が、Bil 4.8にやや上昇。そして、昼過ぎからやや食欲元気低下。状態はやや下降しつつ横ばいが続く。深夜、i/d ドライを与えたところ、尾を振りながら勢いよく食してくれ、水も飲んだ。が、その後、空嘔吐。で、なんとか留まり、一進一退。

10/22(火) 嘔吐はないものの、状態は横ばい。Bil 4.3にやや減少。飼い主さんと話し合い、午後自宅にて見ていただくことに。夕方以降も食べない状態が続いたが、飼い主さんからの提案でささみ、かぼちゃとブロッコリーを与えたところ、食べてくれたとの連絡を夜8時過ぎにいただいた。いつもと変わらず元気に歩く様子の動画とともに。あぁ、ようやく枕を高くして寝られるのか。。。。

 
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